が目を覚ますと、窓から高く昇った太陽の陽射しが降り注いでいた。数秒の間それをぼんやりと眺めていたが、はっとして目覚まし時計を掴むと、飛び起きる。掴んだ目覚まし時計を見ると、もう十時を過ぎたことを示していた。
「ね、寝過ぎた……」
片手で顔を覆うと、落胆したように呟いた。ベッドでは未だにヤミカラスが眠っている。だが、ジラーチがいた筈の所には肝心のジラーチがおらず、タオルだけがくしゃくしゃになって残っていた。それに気がついたは、ジラーチは一体どこに行ったんだろう、と慌ててベッドから立ち上がって名前を呼ぶ。すると、ベッドの下から欠伸をする声が聞こえた。
「ふああ……」
「……ジラーチ?」
がベッドの下を覗き込むと、ジラーチはベッドの下に落っこちていた。それもベッドの枕元に寝かせたはずなのに、下の方に、だ。
「ジラーチって、寝相悪いの?大丈夫?」
思わず肩の力が抜けてしまい、笑いながら尋ねると、ジラーチはのそのそとベッドの下から抜け出した。
「あたま、ぶつけたみたい。でも、だいじょうぶ」
「大丈夫ならいいけれど。とりあえず急いで朝ごはんの準備をするから、ヤミカラスを起こしておいてくれる?」
「ふあ……うん」
まだ眠いのか、欠伸をしながらジラーチはふわりと浮かび上がった。それからベッドの上にぽてりと落ちると、眠るヤミカラスの隣にゆっくりと移動し、片手で眼を擦りつつもう一方の手でヤミカラスの身体をぺちぺちと叩きだす。それを見たは、本当に大丈夫だろうかと思いながらキッチンへと向かったのだった。
ヤミカラスの好きなカゴの実を手に、ジラーチは一体どんな味が好きなのだろう、とは悩んでいた。
「さっき起きた時に聞けば良かったな」
そう呟くと、暫く悩んだ後に、オレンの実やモモンの実を用意して、好きな木の実を食べてもらえばいいかと決めた。それから、寝室のある方へと視線を向ける。未だにヤミカラスとジラーチが姿を現さないのだ。
「ヤミカラス……?ジラーチ?」
そう声を掛けても返事は無く、しんとしている。仕方無く手にしていた木の実をテーブルに置くと、は寝室へと戻った。
「また寝ちゃったの?」
そう尋ねながらが寝室へ入ると、ベッドの上でヤミカラスに寄り掛かって気持ち良さそうに眠るジラーチと、困り顔のヤミカラスが見えた。ジラーチはヤミカラスを起こしはしたものの、その後自分が眠ってしまったようだ。
「疲れているみたいだね」
起こさないように気をつけながらジラーチを抱き上げると、ヤミカラスはやれやれといった様子で羽を伸ばし、小さく欠伸を一つ漏らした。そんなヤミカラスにカゴの実があるよ、と言えば勢い良くベッドから飛び降りたので、はつい笑ってしまう。
リビングへと向かう途中でジラーチも眼を覚まし、漸く遅めの朝食が始まったのだった。